「風」100号に寄せて

2016年春、こうして「風」100号、「風の家」創設30年を迎えることができました。まず何よりも「アッバさま(井上神父は最晩年、個人的に祈るときにはいつもこう呼びかけていました)、ありがとうございます」、そして「「風の家」と「風」を支えてくださった皆さま、ありがとうございます」と心より感謝を申し上げないではいられません。

 

 井上神父に最後に届けた「風」は95号(2013年冬号)でしたが、井上神父は、個人の主宰するこうしたキリスト教系の機関誌で、ここまで長く続いたものは、内村鑑三の「聖書之研究」などわずかしかないのでは、と感慨深く話され、喜んでおられました。内村の「聖書之研究」は、内村の死去の後、遺言によってちょうど30年で終刊になりました。私は、井上神父に、「風の家」および「風」を今後どのようにしていくことを望んでおられるか、うかがいましたが、井上神父は、「私は、『南無アッバ』で、アッバさまにお任せしているから、あなたたちが自由にしたらいいよ」とお答えになられました。それが井上神父の遺言だったわけです。

 

 そこで私も、今後どうなっていくかは、「南無アッバ」で、アッバさまにお任せして、まず、井上神父の追悼号を出すこと、そして井上神父の遺稿集を刊行することをめざしながら、「風」の発行を続けました。そうすると、まことにたくさんの皆さまから井上神父の本を出版するための基金が寄せられ、遺稿集を含む『井上洋治著作選集』全5巻が刊行出来ました。さらに、井上神父追悼号の「風」96号以降、井上神父の志を受け継ぐ人たちや共鳴する人たちからの原稿が集まり、「風」はより多彩で充実した内容になっていき、100号を迎えることができました。

 

 「風」100号というきりのよいところで終刊し、そこで新たな形で出発するかどうか検討するということも選択肢にありました。しかし、井上神父の帰天の後も、「風」の多くの読者の皆さまが支援をお寄せくださり、「風」100号以降も継続を望んでくださるたくさんの方々がおられることに励まされましたので、アッバさまにお任せして、アッバさまの望まれるままに発行を続けていこうと決意いたしました。また、「風」自体が、すでに井上神父の帰天以降、おのずと新たな形になっていきましたので、今後も井上神父の志を受け継ぐ人たちと共に、日本人の心の琴線にふれるイエスの福音の風を一人でも多くの人に届け、アッバのふところから見守っていてくださる神父さまにも喜んでいただけるように力を尽くして参りたいと思っておりますので、今後とも「風」のご愛読、ご支援をいただけますようによろしくお願い申し上げます。

2016年 春   山根道公